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抱きたくても抱けなかったあの女性(ひと)の話

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公式ブログを1ヶ月も丸々放りっ放しなんて、普通有り得ないですよね?…有り得ないぐらい忙しかったんです。本当にごめんなさい。心はいつもココに在り、スタッフWでございます。
唐突ですが、今日は周辺ご案内シリーズ第4回としまして「シアターZOO」という小劇場にスポットを当ててみたいと思います。

周辺ご案内シリーズ第4回:シアターZOO

皆さんは普段「演劇」「舞台」などをご覧になられますか?当ホテルから徒歩で2-3分の「シアターZOO」という小劇場ではそれらを気楽に楽しむ事が出来ます。こちらが入口。夜になれば「シアターZOO」という赤いネオンがとても目立つ目印となります。ここを知って、僕は近年舞台を観る様になりました。

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シアターZOOは、この地下に通じる階段がイイんです。なんか、これから劇を観るぞという気分を盛り上げてくれるような、それはさながら異世界への入口のようです。シリアス、コメディ、どんな劇であれ、それらはきっと皆さんの日常をいっ時忘れさせてくれる事と思います。平均的に2週に1度ぐらいの割合で色んな劇団が、週末に開演されている事が多いです。チケットは当日券でも2千円から高くても3千円ぐらいで買えると思います。詳しくは下記のHPでご確認下さい。今週末は劇団TPS養成所の「恋愛日記」という公演があるようで、個人的にぜひ観に行きたいと思っております。養成所公演なのでチケットが¥1,000というのがまたリーズナブル。足を運びやすいですよね。皆さんも一風変わった札幌観光の夜の思い出に、またはご出張で疲れた心を癒すリラクゼーションの一環として、ご覧になられてみては如何でしょうか?

↓クリックで画像拡大

【店舗情報】
店舗名称:シアターZOO(シアターズー)
営業形態:小劇場
店舗住所:南11条西1丁目ファミール中島公園B1F
電話番号:011-551-0909
営業時間:劇団上演日
ホームページ: http://www.h-paf.ne.jp/ogist/

…え?題名と内容が伴わない?いやいや、例によってここからスタッフWの下らない昔話が始まるんです。おヒマな方はどうぞ↓。



抱きたくても抱けなかったあの女性(ひと)の話

僕が演劇というものに興味のベクトルを示すきっかけのひとつになった出来事が中学3年生の頃にありました。当時田舎の町外れに「町民文化センター」という施設があって、そこでは町民の為のカルチャースクールが開催されていたりとか、併設の町立図書館で本が借りられたりと、町の文化を一身に担う施設がありました。その施設の中心的存在として400-500名ぐらいを収容出来る多目的ホールがあったのです。

そこで年に1度「演劇鑑賞」なるものが学校行事としてとり行われるのです。「南極物語」だとか「典子は今…」のような映画鑑賞ならまだしも演劇には正直興味が持てない僕は、それでも通常の授業よりはまだましだというような気持ちで町民文化センターに向かったのでした。

題目は「安寿と厨子王」という、当時の僕には全然興味が持てなさそうなものでした。申し訳ないですがどこの劇団かも全く覚えていませんし、内容も全く印象に残っていません。なんだか訳の分からないうちに終幕となりました。「ああやっぱり面白くなかったなぁ…」と今にして思えば一所懸命に演じて下さった劇団員の方々に対して失礼千万な感想を抱いたその時でした。厨子王役のお兄さんと母上役のお姉さんが2人、ステージ中央に戻ってきてこう言うのです。

お兄さん:「それでは今僕達が演じたクライマックスのシーンを、皆さんの中の誰かに実際にやってみてもらいましょう!」
お姉さん:「さあ、やってみたい人は元気に手を上げてみて下さいねー」

こんな事があるなんて先生からは事前に何にも聞かされていません。この急なサプライズに全校生徒も騒然、目立ちたがり屋の人間達が盛んに手を上げてアピールし始めます。今でこそおとなしい僕ですけれど、この頃の僕は目立ちたがり屋を自認していたものですから、中学1年生から3年生まで400人ぐらいはいる全校生徒の中、それはもう夢中になって「ハイ!ハイ!!」と声を張り上げていましたよ。

そしたらなんとお兄さんが「じゃあ厨子王役は、この列の…」…ええっ?この列?!…「後ろから○番目の…」…えと、1・2・3…え?!「キミっ!こちらに上がってきて下さい」…えっ?!ホントに僕?…みたいな感じで、僕が厨子王役に選ばれてしまったのです。いやー、ビックリした。そして相手役の女の子も決まりました。3年D組の杉平美知子(仮名)さん、明るくて活発なテニス部の女子で、男子陣にも人気があり、正直僕もちょっと気になっている娘でした。そんな美知子さんと一緒に舞台の経験が出来る、夢みたいな出来事です。

2人は別々の控え室に入り、衣装合わせと演技の指示を受けます。着物を着て、かつらを被り、ニポポ人形みたいな物を持たされます。物語のあらすじは、生き別れになった母上を探して安寿と厨子王の姉弟が全国を旅した末、(途中で安寿は死んでしまうのですが)ついに厨子王が母上を探し出す、というお話です。クライマックスは目の見えなくなった母上の目を厨子王が天にお祈りして治してもらう、というシーンです。演技といってもたった一言、舞台が暗くなってカミナリの効果音が鳴った後、ニポポ人形を頭上に掲げて「母上の目をー!」と叫ぶだけです。簡単、簡単。

ところが厨子王役のお兄さんが最後にこんな指示を出してきたのです。「…でね、最後に目が治った母上とね、厨:『母上…』母:『厨子王…』厨:『母上!』母:『厨子王!』と2回繰り返しながらお互いに舞台中央に寄って、真ん中でしっかりと抱き合うんだ、いいね?出来るね?」

…え?だ、抱き合う?ちゅ、中学生の僕と美知子さんが?公衆の面前で?

この最後の指示で、僕は頭が真っ白になりました。

…出来ませんて。そんな事が出来る度胸があったら、もっと前にゴニョゴニョ…。

…いやあ、悩みました。もちろん美知子さんは抱きしめてみたいです。でもですよ、出来ませんて、公衆の面前でそんな事。恥ずかしい。

青2才の中学生にとって『抱きしめたい』と『恥ずかしい』の天秤は勿論『恥ずかしい』が重いです。だけどせっかく選ばれて舞台に立つからには『目立ちたい』という欲求、これも何とか満たしたいのです。そこで僕は考えました。「そうだ、アドリブで切り抜けよう」と。ま、母上と厨子王が抱き合うシーンは既に皆1度観てるんです。同じ事をやっても面白くない。『母上!』『厨子王!』と中央に寄った時に派手にコケてしまって抱きしめられない事にしよう、僕の脳内でそうシナリオが書き換えられたのでした。

そして本番。『母上…』『厨子王…』『母上!』『厨子王!』、ビターン…と、脳内シナリオ通りに美知子さんの前で不様に転ぶ僕。全校生徒の前での咄嗟のアドリブ。僕の脳内ではここで笑いの渦ですよ。ところが現実はそう甘くない。その瞬間会場中が波を打ったようにシーンと静まり返りました。あれ?

横で見ていたお兄さんが慌ててマイクを持ってフォローに回ってくれました。「いやぁ、さすがに全校生徒の前で抱きしめ合うっていうのはやっぱり恥ずかしいもんですよねー。はい、よくやってくれたW林君と杉平(仮名)さんに拍手ぅー」…パチ…パチ…まばらな拍手。こうして僕の公衆の面前での初舞台(?!)が終了したのでした。

今ならね、わかる。まばらな拍手の理由。あそこは照れじゃなくて抱きしめ合うシーンをみんな期待していたんだよね。僕ってつくづく空気の読めない男だな、昔も今も。

…演劇というと僕の脳内にこんな苦い経験がフラッシュバックするんです。でも、苦いながらに懐かしい。僕が近年舞台を観に行くのは、実はこの甘苦い経験を思い出したいからかも知れません。

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2006年07月01日 10:34に投稿されたエントリーのページです。

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